離婚したいとき、あるいは、配偶者から離婚を求められたとき、いきなり第三者を交えると、かえって事を荒立てることが往々にしてあります。
当事務所では、いきなり弁護士が介入するのではなく、まずは当事者である夫婦が十分話し合うことをおすすめしています。
もっとも、DV(家庭内暴力)の問題がある場合や、相手方の親族が介入してきている場合で、夫婦間で十分な話し合いができないような場合には、いきなり家庭裁判所に離婚調停を申し立てることもやむを得ないでしょう。
離婚においては、慰謝料請求、子供の親権と養育費、財産分与といったことが問題となることが多く、これらについて取り決めることが必要になります。
- 慰謝料請求
我が国では、多額の慰謝料請求が認められる例はあまりありません。他方で、慰謝料請求を本格的に争い始めると、解決まで非常に時間がかかってしまいます。慰謝料問題については、コストと時間を頭に入れて対応することが必要でしょう。
- 親権・監護権
子どもがいる場合、両親のうち、どちらが親権を持つかが問題となります。我が国では、多くの場合、母親に親権が認められます。
母親に親権が認められた場合には、通常、父親が子どもと定期的に面会することが認めれらます。
なお、父親に親権が認められる場合でも、母親に監護権が認められる場合があります。監護権とは、親権から、財産管理権を除いたものです。
- 養育費
養育費とは、子が、親に対して、親と同等の水準の生活をできるよう請求する権利です。
両親が離婚した場合、親権を持たない親も、子どもに対して、自分と同じ水準の生活ができるよう、養育費を支払う義務を負います。
養育費の額については、目安が定められており、個別具体的な事情も考慮はされますが、この目安額が基本となります。ところで、養育費は、夫婦の一方が他方に対して請求できるものではなく、子供が親に対して請求できるものです。したがって、子どもとの面接交渉が妨げられたからといって、養育費の支払いを拒むことはできません。
また、離婚等の調停で養育費の定めを行ったのに、養育費を支払わなかった場合、給与などに対する強制執行を受ける可能性があります。
痴呆などの精神上の障害により、物事を合理的に判断する能力が欠けている者が、悪徳業者の詐欺被害にあったり、不合理な財産処分をしてしまうことが心配される場合に、家庭裁判所が保護者として成年後見人を選任し、一定の権限を与えるという制度が成年後見制度です。
- 成年後見のポイント
成年後見制度は、従来の「禁治産」制度を改良したものです。禁治産制度と異なり、戸籍に記録されることはなく、代わりに、成年後見登記ファイルに登記されることとなります。登記事項証明書の交付を請求できるのは、本人等一定の者に限られます。
成年後見制度の対象者は、精神上の障害により、事理弁識能力を欠く常況にある者とされており、身体上の障害のみを有する者は含まれません。
成年後見制度を利用するには、一定の親族関係にある者が家庭裁判所に審判の申立てを行い、成年後見開始審判をしてもらうことが必要です。その際、原則として、本人の判断能力について専門家による鑑定を行う必要があるので、鑑定費用(5〜10万円程度となることが多い)を用意しておく必要があります。
成年後見開始の審判がなされると、成年後見人が、本人(成年被後見人といいます)がした重要な財産の処分行為を取り消したり、本人に代わって契約をすることができるようになるなど、成年後見人に一定の権限が付与されるようになります。誰を成年後見人に選任するかは、家庭裁判所の判断に委ねられますが、申立書に候補者を記載する欄があり、裁判所の参考に供されます。
成年後見制度と類似の制度に、任意後見制度があります。これは、自身が将来物事を合理的に判断する能力を失ったときに備えて、信頼できる人に後見人になってもらうことをあらかじめ契約しておくというものです。
詳しくは当事務所など専門家にご相談下さい。