債権回収

債権回収

お金を貸したけれども、返してくれないという場合、どのような手続を取るべきでしょうか。

まず、確かにお金を貸したということを証明できるかが問題となります。
次に、お金を貸したことを証明できる場合には、相手方が任意に払ってくれるよう、できるだけの交渉をします。
さらに、相手方が交渉に応じなければ、訴訟提起等によって債務名義を取得して、強制執行手続をとることになります。

債権回収のポイント

法律上の請求においては、請求する権利をきちんと立証できる証拠が存在するかがもっとも重要な問題となります。

貸したお金を返してほしいのであれば、お金を貸したという事実を立証できなければなりません。

借用証書が存在すれば、これによって一応立証は可能であると考えられます。借用証書を作成していない場合には、他に、お金を貸したことを証明する、あるいは推認させる資料がないかが問題となります。単に「私は確かに貸しました」と言うだけでは不十分なことが多いと思われます。

お金を貸したことを立証できる場合には、弁護士と相手方で支払交渉をすることが考えられます。交渉がうまくいかなければ、訴訟等の手続を取らざるを得ません。訴訟段階に至って初めて和解が成立する場合もあります。

勝訴判決が出て確定する(もしくは仮執行宣言が付く)と、債務名義となります。訴訟の途中で和解が成立すると、和解調書も債務名義となります。債務名義を取得すると、相手方の財産に強制執行をかけることができます。もっとも、貸したお金を返してくれない人ですから、十分な財産を持っていないことが多いと思われます。また、財産を持っていても、その所在が明らかでないことも多々あります。その場合には、せっかく債務名義を取得しても、強制執行すべき対象がなく、意味がないことになります。

以上のように、貸したお金を返してもらうためには、様々な問題があり、どのように手続を進めるべきかについては、経験のある専門家に相談することが必要です。

強制執行の種類

強制執行の対象財産は、不動産と債権が主な対象ですが、場合によっては動産に対して強制執行を行うこともあります。

不動産には土地と建物がありますが、既に金融機関等によって抵当権が設定されていて、抵当権によって担保される債務の総額が不動産の時価を上回っていると、競売代金をすべて抵当権者がもっていってしまうので、強制執行の対象としては不適切であることになります。また、強制競売を申し立てても、時価相当額よりも低い価額でしか売却できないことが多く、そもそも買い手が付かない場合もあります。

強制執行の対象として考えられる債権には、銀行預金や給料債権、売掛金債権などがあります。預金について強制執行を行うには、原則として銀行名と支店名が判明していることが必要となるという問題があります。また、預金者が銀行から借入れをしていると、相殺されて、回収できなくなるという問題もあります。給料債権は、その4分の3または33万円のどちらか低い額について差押えが禁止されているため、実際に回収できる金額は大きくならないといった問題点があります。

このように、強制執行には様々な問題があるため、できるだけ、交渉により、任意の支払い約束を得ることが重要となります。

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